執行役員制度の役割と法制度との関係
最近では、中小企業でも、執行役員制度を導入するケースが増えています。
執行役員制度では、取締役会が経営の決定権と業務の監督権を持ち、代表取締役が業務を実行し、執行役員が代表取締役を補佐し、一定の権限を持って業務を行います。
執行役員は会社法上の機関ではないため、選任期間は通常、株主総会ではなく取締役会が決定します。
一般的に、執行役員は取締役と兼任するケースや委任契約、雇用契約によって契約され、多くは雇用契約型が採用されています。
法人税法上の役員と執行役員
法人税法上では、役員に支払われる報酬について、過大な部分や役員賞与については損金に算入できない制約があります。
そのため、執行役員が法人税法上の役員に該当するかどうかが検討されます。
法人税法では、役員の範囲を取り決めており、取締役、執行役、会計参与などを役員と定義しています。
執行役員は法的に制限なく設置できる役職であり、会社法上の取締役には該当しません。
また、法人税法上のみなし役員にも該当せず、業務執行の意思決定権を持たないため、報酬については使用人と同様の取り扱いがされます。
就任での打切支給
通常の従業員から執行役員になる場合、その前の勤続期間に応じて退職手当などの一時金を支給する場合には、給与所得として扱われますので注意が必要です。(執行役員との契約関係が雇用契約の場合)
また、執行役員と会社との契約が雇用契約である場合、執行役員になっても契約関係に変化はなく、労働者としての保護を受けるため、雇用関係に重大な変化があったとは見なされません。
【参照元】国税庁ウェブサイト
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/071205/01.htm
当社の執行役員制度では、使用人から執行役員に就任する場合、雇用契約をいったん解除し、新たに雇用契約を締結することとし、執行役員に対する報酬、福利厚生、服務規律等は役員に準じたものとしている。
この場合、執行役員就任時に退職手当として打切支給する一時金は、退職所得として取り扱われるか。原則として、給与所得(賞与)として取り扱われる。
執行役員との契約関係が雇用契約の場合、会社との契約関係には変動がない(雇用契約が継続している)こととなる。また、報酬、福利厚生、服務規律等は役員に準じたものであるとしても、労働法上は労働者に該当することに変わりはなく、労働者としての保護を受けることから、一般的には勤務関係の性質、内容、労働条件等において重大な変動があるとは認められない。
(出典)所得税基本通達30-2の2に関するQ&A
したがって、その執行役員就任時に支払われる退職手当は、原則として、給与所得(賞与)として取り扱われる。