国外財産調書とは、居住者(非永住者を除く)で、12月31日時点で合計5,000万円を超える国外財産を有する人が、その国外財産の種類、数量、価額などを記載し、翌年6月30日までに所轄の税務署に提出しなければならない書類です。
国外財産調書の提出状況(2022)
国税庁は、2022年分の国外財産調書(2022年12月31日時点の国外財産の保有状況を記載)の提出状況を公表しました。
詳細は、下記の国税庁サイトをご確認ください。
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023012-286.pdf
国外財産調書制度の経緯
国外財産の保有が増加する中で、国外財産に係る所得税や相続税の適正な課税が急務となっています。
そのため、納税者本人から国外財産の保有について申告を求める仕組みとして、2012年度の税制改正で国外財産調書提出制度が創設され、2014年1月(初回は2013年分)から施行されました。
なお、2022年度の税制改正で、提出期限が翌年3月15日から6月30日に変更されました。
2022年分の国外財産調書の提出件数は、前年より3.2%増の12,494件で9年連続の増加となり、総財産額は1.5%増の5兆7,222億円となり、いずれも過去最多となりました。
局別の提出件数は、「東京局」が7,900件(構成比63.2%)で最多、「大阪局」が1,867件(同14.9%)、「名古屋局」が861件(同6.9%)でした。
財産の種類別総額は、「有価証券」が3兆4,569億円(構成比60.4%)で最多、「預貯金」が7,775億円(同13.6%)、「建物」が4,842億円(同8.5%)、「貸付金」が1,754億円(同3.1%)、「土地」が1,568億円(同2.7%)、そのほか「それ以外の財産」が6,713億円(同11.7%)でした。
インセンティブ措置
国外財産調書を自主的に提出するインセンティブ措置として、以下のような措置があります。
- 調書を期限内に提出した場合、記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが発生しても加算税が5%軽減されます。
- 調書の提出がない場合や提出された調書に国外財産の記載がない場合、その国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れが発生すると、加算税が5%増加されます。