持株会社化(ホールディングス化)のメリットとデメリットは、様々なものがあります。
ここでは、持株会社化(ホールディングス化)の一般的なメリット・デメリット(利点とリスク)について、下記一例をあげて説明します。
持株会社化のメリット
経営の合理化・効率化
HD化により、親会社はグループ全体の資源(資金、技術、人材など)を合理的に配分できます。そのため、リソースの無駄遣いや重複を防ぎ、効率的な運用が可能になります。
また、経営資源の共有や重複作業の削減が進むことで、コストの削減が可能になります。
グループ企業のブランド価値向上
HD化を行うことで、グループとしてのブランド価値が向上する効果が期待できます。
HD化により、一般消費者や取引先等に、グループ経営による規模感や安定感のあるイメージが浸透し、グループ全体及びグループ内の各社の信頼性が高まることが期待されるためです。
リスク分散
複数の子会社を所有することで、リスクを分散することができます。
特定の業界や地域での不況やリスクがあっても、他の子会社の業績がそれを補うことができます。
問題が発生しても、親会社の管理の下で迅速な対応が可能となります。
M&Aの柔軟性向上
HD化により、親会社は子会社の買収や合併を迅速に決定し実行できるようになります。
親会社は、市場の変化や業界のトレンドなどグループ全体の戦略を考慮して新しい事業を買収したり、既存の事業を合併することで、成長戦略を迅速かつ効果的に展開することができます。
持株会社化のデメリット
統治と管理の複雑化
HD化により、親会社が複数の子会社を統制する形になりますが、これに伴い統制や管理が複雑になります。各子会社が独立して運営されるため、親会社が全体の業務を把握し、統一的な方針を実行するのが難しくなることがあります。
規制と法的責任の発生
持株会社は、親会社としての法的責任(子会社の契約や債務に対して保証をしている場合の責任)を負うだけでなく、子会社の行動(コンプライアンスなど)にも責任を負います。
例えば、企業の信用低下、損害賠償請求訴訟、行政処分、行政指導などが発生する可能性があります。
意思決定の遅延
HD経営では、重要な意思決定を持株会社が行いますが、これが原因でグループ全体の意思決定のプロセスが遅くなることがあります。複数の子会社間での調整や、持株会社と子会社同士の意見の相違が意思決定を複雑にし、迅速な対応が求められる状況での行動が鈍り、意思決定プロセスが遅れることにより、成長の制約につながる可能性があります。
役割分担の不明瞭化
HD化により、グループ経営になることで、親会社と子会社、子会社間の役割分担が不明瞭になることがあります。
親会社が経営戦略を策定し、子会社が実際の業務を行うため、問題が発生した場合に責任の所在が曖昧になることや、親会社に管理されることによる子会社の主体性の欠如、形骸化が懸念されます。
以上は、持株会社化・ホールディングス化のメリット・デメリットの一例となります。
他にも、様々なメリット、デメリットがあり、会社の状況は業種・業界の状況などによって、変わってきます。
弊所では、持株会社化のコンサルティング・サービスも提供しておりますので、お気軽にご相談ください。